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なぜ、今、心不全クリニックなのか

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心不全は増えている

図1.心不全の増加の予想
米国の心不全の新規発症率を基にした本邦の心不全発症率の予想。
右肩あがりに心不全発症が増加している。
Shimokawa et al. (2015) Eur J Heart Fail. 17:884より引用。

心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、命を縮める病気」です1。心不全患者さんは年々増加しており(図1)2、将来的には爆発的な増加が予測されている為、心不全パンデミックと言われています。

さらに、心不全患者さん入退院を繰り返しながら、段々と悪くなるのが特徴です。患者さんが増えてきており、入院施設がある総合病院の循環器内科の外来は沖縄県中部地区ではどこでも混雑しており、なかなか予約が取れない状況が予想されます。心不全患者さんが、体調が悪くてもすぐには受診できない状況や、なかなか予約がとれなくて、外来間隔が長すぎたら、心不全管理が悪くなり、入院するくらい悪くなってしまうこともあります。総合病院だけでは手一杯になってしいまいます。

最近は 地域で診る心不全 という考え方になってきて、患者さんを中心に 訪問看護や訪問診療、クリニックなどが協力して心不全を治療していくことが望ましいとされています。

地域で診る心不全

いろいろな医療機関の連携が必要ですが、特に外来機能では心不全クリニックが心不全を管理すると死亡率、心不全入院が減るという報告があります(図2)3。この報告の中では患者様に心不全の疾患管理に勉強会を開いて、食事や、生活習慣を繰り返し覚えてもらうといったことをしています。地域で診る心不全の中で大きな役割を担う可能性がりあますが、心不全を専門とするクリニックは多くないのが実際です。

図2.心不全クリニックの有用性
赤線は心不全クリニックのケア
黒線は通常ケア
赤線と黒線が離れていています。
心不全クリニックのほうが成績がよいです。
下に行くほど、心不全と総死亡で脱落していくというデータです。
Howlett et al. (2009) Can J Cardiol;25 (9):e306より引用

総合病院の入院施設がある循環器内科だけが心不全を診ていくのではなく、心不全クリニックが地域の心不全患者さんを丁寧に治療していくことが、より多くの心不全患者さんの治療のクオリティを上げ、予後(健康寿命)の延伸につながることが期待されていると考えられます。今だからこそ、地域医療にに心不全クリニックが必要で求められていると考えられます。

参考文献

  1. 日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン 急性・慢性心不全診療ガイドライン
  2. Shimokawa, H., Miura, M., Nochioka, K. and Sakata, Y., Heart failure as a general pandemic in Asia. Eur J Heart Fail, (2015) 17: 884-892. https://doi.org/10.1002/ejhf.319
  3. Howlett JG, Mann OE, Baillie R, Hatheway R, Svendsen A, Benoit R, Ferguson C, Wheatley M, Johnstone DE, Cox JL. Heart failure clinics are associated with clinical benefit in both tertiary and community care settings: data from the Improving Cardiovascular Outcomes in Nova Scotia (ICONS) registry. Can J Cardiol. (2009) Sep;25(9):e306-11. doi: 10.1016/s0828-282x(09)70141-2. PMID: 19746249; PMCID: PMC2780901.
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この記事を書いた人

沖縄北あんしん内科クリニック院長。専門は虚血性心疾患と心臓リハビリ。小学生時代は肥満児で柔道部に入部をきっかけに、ダイエットに成功した。以来、スキー、水泳、サーフィンなど様々なスポーツにチェレンジしている。自身のダイエットの成功体験を元に、医療のみならず、運動や食事など総合的なライフスタイル提案をするために2023年に自身のクリニックを開業する。

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