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悪玉コレステロールは下げれば下げるほど良い?

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LDLコレステロールの値×時間が心血病のリスク

脳梗塞や心筋梗塞などコレステロールが血管に詰まる病気を動脈効果性疾患(ASCVD)と呼んでいます。これらの病気は時間をかけて、血液の中の悪玉コレステロールが血管の壁にくっついて粥腫という、脂の塊が血管の壁にできることで起こります。悪玉コレステロールは低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)という玉になって、血液中を運ばれていきます。これが血管の壁にくっついて、脂成分を血管の壁に落としていきます。患者さんには粥腫を皮膚にできるニキビのように脂が皮を被った状態と説明しています。そして、高濃度の悪玉コレステロールに血管が晒されると脂が血管に積もっていきます(図1)。

悪玉コレステロールの値と時間がイコールが脳梗塞や心筋梗塞のリスクに比例しますので、いかに低く長くたもつかが重要になります。

LDLコレステロール×時間が多いほうが心血管病リスクが高いことを示した図です。青,赤,黒,紫の順で長い期間、高LDLコレステロールにさらされたことになります。

Domanski, M.J. et al.JACC.2020;70(13):1507-16

図1 時間×LDL-Cの面積と心血管病リスク

悪玉コレステロールを下げるには薬 (+食事)

患者さんに悪玉コレステロールが高いので薬を飲みましょうというと「大丈夫です。薬ではなく、食事で気をつけますから、お薬はいらないです」そうおっしゃる方が非常に多いです。実は悪玉コレステロールは食事の影響は3割、肝臓の合成が約7割なので、食事だけではLDLコレステロールが十分に下がらないことが多いです。しかし、だからと言って、暴飲暴食をしてよいわけではないです(表1)。

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LDLコレステロール低下を目的に、適正な総エネルギー摂取量のもとで死亡エネルギー比率を制限することを推奨するエビエンスレベル:1, 推奨レベルA
肥満者では適正なエネルギー摂取量のもとで、減量に加えて脂質の摂取内容を修正して制限、また非肥満者においても脂質の摂取内容を修正して制限することにより血清脂質が改善されて、動脈硬化性疾患の発症を抑制できる可能性があるために推奨するエビデンスレベル:コンセンサス, 推奨レベルA
冠動脈疾患の二次予防においては、治療開始前のLDLコレステロールに関わらず、発症早期より最大耐用量のストロングスタチンを第一選択にした薬物療法を推奨する。さらに個人のリスクを鑑みての、LDLコレステロール管理目標値達成のための薬物療法を強化する。エビデンスレベル:1+, 推奨レベル:A
表1.動脈硬化性疾患ガイドライン2022年度版より抜粋

特に一回心筋梗塞を経験した患者さんの二次予防においては70mg/dLという低い目標値が設定されています。Lower the Better (低ければ低いほどよい)というコンセプトが広まっていて、お医者さんはなるべく、LDLコレステロールを下げることを勧めます。

悪玉コレステロールを下げるにはスタチンというお薬が有効です。管理目標は患者さんのリスクを評価して、管理目標値に向けてお薬を強化していくことが動脈硬化性疾患の予防に有効です。

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この記事を書いた人

沖縄北あんしん内科クリニック院長。専門は虚血性心疾患と心臓リハビリ。小学生時代は肥満児で柔道部に入部をきっかけに、ダイエットに成功した。以来、スキー、水泳、サーフィンなど様々なスポーツにチェレンジしている。自身のダイエットの成功体験を元に、医療のみならず、運動や食事など総合的なライフスタイル提案をするために2023年に自身のクリニックを開業する。

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